エイプリルフールの伝説
ミッションに失敗したハト
聖書に描かれた「ノアの箱舟」にも、エイプリルフールの起源と言われる一節があります。
大洪水から箱舟で逃げたノアは、陸地を探すためにハトを飛ばしました、しかしハトは陸地を見つけることができず、手ぶらで帰るはめになりました。
その後、二度目の挑戦でオリーブの木をくわえて戻り、ようやくミッションを達成することができたのです。
最初にハトが無駄足を踏んでノアのところに戻ったのが4月1日だったことから、この日は「無駄なことをする日」になったと言われています。
煩悩多き仏道修行
インドの仏教では、3月25日から3月31日まで寺院で説法や座禅などを行って修行をする習慣がありました。信者はこの期間だけは仏道修行に励みますが、最後の日が終わる4月1日にはまたすぐに迷いの境地に戻ってしまう…。
そんな人々をからかう意味で「揶揄説」をつくり、人をかついだり、いたずらをする風習が生まれました。
古代ローマの無礼講祭り
ローマでは主人と奴隷が入れ替わったり、道化師が聖職者に扮するなど、立場を逆さまにして遊ぶパーティが4月1日に行われていました。
この日は王様に代わり道化師が無礼講の君主として王座に座り、どんちゃん騒ぎを楽しんだと言われています。
オール・フールズ・デー(万愚節)
先述の古代ローマの祭りは、ヨーロッパでオール・フールズ・デー(万愚節)というお祭りになりました。
この日は何でも逆さまに行うのがお約束。主人の椅子には道化師が座り、いつもは左から右へ書く文字も反対から綴ります。
これは単なるバカ騒ぎではなく、規則は時に面倒なものですが、それがなくなると秩序が保たれなくなって大変だということを実感しよう意味があるのだそうです。
また、万愚節は11月1日のオール・セインツ・デー(万聖節)に対して設けられたもので、キリストがユダヤ人に愚弄されたことを忘れないために生まれた日であるという説もあります。
フランスのエイプリールフール
フランスではエイプリルフールのことを「Poisson d’avril(ポワソン・ダヴリール)」といいます。「4月の魚」という意味で、魚の形をしたチョコレートやクッキーなどの小さなプレゼントを贈る習慣があります。魚モチーフのプレゼントはイタリアでもよく行われています。
フランスでもジョークはもちろん、いたずらも大人気。子どもの間でよく行われているのが、魚の絵を人の背中にこっそりと貼ってからかうというもの。街を歩くすましたマダムやハンサムなパリジャンの背中に、魚の絵がひらひらと泳いでいるのを想像すると、ちょっと面白いですよね。
どうして「4月の魚」なの?
どうして「4月の魚」なんでしょう?それにはいくつかの由来があります。
一つは名前の通り、魚に関すること。4月は魚の産卵期のため、漁を行うことが禁止されています。そこで、獲れないはずの魚を絵に描いてプレゼントしたり、川に魚を投げ入れたりしていたずらを楽しんだそうです。
また、フランスでは新暦になるまで4月1日が1年のはじまりとされており、新年にギフトを贈りあう習慣がありました。この時期はキリスト教の断食の期間とも重なっており、古い習慣を残そうとした人々が、食べることを許されていた魚を贈りあったとも言われています。
もう一つは星座のうお座にちなんでおり、この時期の月の位置がうお座に来ているとか、太陽がうお座を離れるからという説もあります。